術後感染について

術後感染につい

手術リスクとしての感染

あらゆる手術に感染はリスクとなります。感染を100%避けることができる手術も医者も存在しません。

術後すぐが感染の可能性が高く、次第に下がってきますが、3ヶ月以降に感染する方もいます。

銀座すみれの花形成クリニックでは感染予防、感染対策、万が一感染が発症した場合の対応、これらをしっかりと行い、感染によるダメージを極力回避し、手術結果が良好に保たれるようフォローしています。

感染を発症しやすい傾向

修正手術

特に瘢痕減量術や異物摘出術後の血行障害、鼻孔縁に瘢痕が著しい、鼻孔縁縫合が困難なケース、移植片・プロテーゼなどによる皮膚や粘膜が薄くなったケース、2回以上の複数回手術を受けた方、が感染しやすいです。

耐性菌保菌者

術前鼻腔内細菌培養検査で耐性菌(MRSA含む)が検出されるケース

喫煙者・喫煙歴の長い方

喫煙や副流煙で血管が収縮し、血流が低下することで、感染が発症しやすくなります。可能なら手術2週間前から術後4か月は禁煙していただき副流煙にも十分な注意が必要です。喫煙歴が長い方も感染のリスクがあります。

感染の原因

当院手術、他院修正共に、鼻腔内に耐性を有する細菌を保有している方や、複数回手術を行なった方が感染する可能性が高いです。当院では、院内感染(同じ菌による感染が同時期の複数の患者様で確認される)はこれまで発生していません。

感染の主な症状

  • 発赤 (皮膚が赤くなること)
  • 排膿(鼻孔縁から膿が出る)
  • 腫脹(腫れやむくみ)
  • 熱感(皮膚が触ると熱い)
  • 疼痛(炎症と痛み)
  • 鼻閉(鼻腔内や鼻中隔部の腫れで鼻が詰まる)
  • 排膿(鼻腔炎などから膿が出る)
  • 悪臭異臭(患部から排膿がある、また鼻中隔部で排膿があると臭いがします)

当院の感染対策

術前に鼻腔内細菌培養検査を受けていただきます。

綿棒を鼻の中に入れる検査です。この検査で耐性菌が検出された方には、しっかりと術前術後の感染対策をしており、非常に有効に活用できています。しかし、術前に常在菌(問題のない細菌)や耐性菌以外の細菌が検査結果で出た方でも、感染した後の検査で他の細菌や耐性菌が検出されることが稀にあります。事前の検査が100%ではないことを事前にご了承ください。

感染したら・・

感染治療のために挿入したシリコンや自家組織を抜くと、せっかく支払った高額の手術代が全て水の泡になってしまう・・そう思って感染したのに治療に消極的になる方がいます。

鼻の手術の場合、感染が判明すると速やかに切開排膿を行い、毎日洗浄できるようにドレナージチューブを入れます。改善が認められない場合には、移植片やプロテーゼ等を全抜去し、再度洗浄を行うことになります。

全抜去を受け入れることは金銭面だけでなく整容面においても非常に苦しいことと思います。しかし、そのまま感染を放置すれば皮膚が拘縮を起こし、移植片は吸収され、鼻の重要な土台であるご自身の鼻中隔軟骨にまで影響が波及することもあります。我慢したり放置すると、将来の修正手術がより困難になる可能性が高まります。ご自身の大切な鼻翼軟骨(=下外側鼻軟骨)や鼻中隔軟骨を温存し、移植し片やプロテーゼを全抜去することは感染治療の重要なポイントです。

一般的に患者様が感染を発症しても、明かな院内感染や手術のミスでない限り、担当医が治療に対応するのは当前のことですが、手術代の返金や補償対応は必ずしもありません。その上、折角手術したものを戻すこともありますので、患者様にとっては非常に苦しいと思いますが、ここは投資で使われる「損切り」という発想で、投資した手術費用は捨てたと割り切り、速やかに感染治療を開始し、当面は鼻が低いままであっても、将来受ける再建手術のための土台を手に入れる、と長い目で考えることが大切です。

感染時の費用について

当院術後に感染が判明した場合、患者様にご負担していただくことになる費用は以下の通りです。診察日が感染確認日となります。

感染治療の患者様負担

感染治療の薬剤には入院管理が必要なものもあります。入院治療が必要となった場合は当院の医療連携先病院で対応させていただきます。深刻な病気の影響が考えられる場合や健康被害に及ぶ可能性が高い場合は先方の病院の判断で保険診療となることがあります。

他院感染の処置について

他院術後の感染処置を基本的には当院ではお引き受け致しませんが、事情があって当院で感染部の移植片摘出、洗浄、処置をお引き受けする場合の料金は以下の通りとなります。

項目料金(税込)
抜去+洗浄)鼻尖部440,000円
抜去+洗浄)鼻根鼻背部440,000円
抜去+洗浄)鼻柱部〜鼻柱基部440,000円
抜去+洗浄)鼻翼〜鼻翼基部440,000円
抜去+洗浄)鼻中隔部550,000円
共通ー抗生剤点滴5,500~220,000円
共通ー処置代 1回11,000円

薬剤アレルギーについて

感染とは異なりますが、非常に稀ですが術後に「薬剤アレルギー」を起こす方がいます。静脈麻酔や抗生物質に対する薬剤アレルギーは予期できません。

即時型アレルギー症状を発症した場合は院内で気道確保、昇圧剤投与、ステロイド投薬し、救急病院に搬送します。当院ではすぐにこれらに対応できます。

万が一、帰宅後自宅で、手術した箇所以外に発赤や発疹、腫脹、掻痒感、動悸、息切れ、息を深く吸えないなどの軽度呼吸困難の症状が出た場合は、

「今日病院で手術を受けたが◯◯な症状が出ている。薬剤アレルギーのショックかもしれない」

と伝え、救急車で救急病院を受診してください。 当院の術後の緊急連絡先にご連絡いただけば使用した薬剤について速やかにお伝えいたします。

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