修正の患者様の傷から見えてくるもの・・

鼻の修正手術が増えています。

修正で来院される多くの患者様はすでに耳から軟骨が採取されています。
下の写真のような部位(×印)に縫合の跡が残っていることがよくあります。
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耳から軟骨を採取するにあたり、このように表の見える場所にわざわざ傷をつけるというのは、形成外科では考えられないことです。一目で、形成の基本すら学んでいない未熟な医師が執刀したことがわかります。

下の写真は
患者様の切開線(赤矢印)です。当院では、傷跡が見えないよう耳の後ろから軟骨を取ります
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この患者様の場合、鼻尖・鼻翼・鼻柱修正手術のため出来るだけ多くの軟骨が必要でした。そのため切開線は長くなりましたが、このアプローチだと傷跡がほとんど目立ちません。キズ跡が人からわかりにくい上、十分な軟骨を採取することができるこのアプローチを、当院では全ての患者様に選択しています。

来院された患者様の耳の裏を見て、「きちんと耳の裏から軟骨を採取されているけれど、傷痕が汚い」という場合は、技術不足かどこかで気が緩んだのだろうと想像します。たとえ髪で隠れる場所であっても、美しい縫合を目指すのは形成外科の基本であり、美容外科なら更に上の美しさを目指すべきですが、汚い縫合痕というのは、実際に失敗された患者様によくみられます。

また、患者様からは見えない傷として、「見かけは美しく鼻を作ってモニター写真などを掲載しているけれど中を開いたらずさんな仕事をしている」、というケースもあります。術後、鼻づまり気味になったり呼吸がスムースでなくなったということがあれば、その手術は見かけ上成功していても、失敗です。ある修正の患者様は手術によって骨折させられたことに気がつかないまま、「何となく調子が悪い」と思いながら数年過ごされていました。当院で修正の手術をし、ゆがんだ鼻を立て直すだけでなく、呼吸も改善できました。見かけだけ繕って内側がずさんというのは、形成外科の専門医なら考えられないことです。

一度だけ、私は「傷」に感動したことがありました。それは、拙著を読んで来院された形成外科の患者様でしたが、複雑に発生したお顔の腫瘍を切除し大がかりに縫合したあとが美しく、患者様に尋ねたら、執刀医は私もよく存じ上げている日本の形成外科史に名を残されている著名な先生でした。それが日本の形成外科の黎明期、今から50年も前の傷であると知り、自分が生まれた時代の形成外科の技術がここまで進んでいたのかと感動しました。

患者様の傷から、前の執刀医の技量や行ったことが見えてきます。どのような精神で手術をこなしているのかさえ伝わってきます。傷は嘘をつきませんし、手術で開けば全てわかってしまいます。それだけに、形成外科だけでなく健康な方にメスを入れる美容外科の仕事は、自分の仕事が全てさらけ出される可能性のある、考えようによっては怖い仕事なのです。