韓国での整形の修正

韓国というと、日本よりも美容外科が流行していて進歩的、と期待される方も多いようですが、実際に、意思の疎通の問題の他、医療的な価値観の相違から、

「信じられない治療を受けてしまった」

「思いがけない失敗をしてしまった」

と話される方が来院されます。

医療というのは、倫理観や宗教観などが反映される部分が多々ありますから、非常に身近に感じている国であっても、思いもよらないことが起るのは想像に難くないところです。それが美容外科という領域になると、商業的な色彩が強まり、トレンドも入り、患者様だけでなく日本人医師にとってもあまりにも驚くようなことが現実として起っています。

韓国の美容外科の傾向の一つとして、”過当競争による旺盛なサービス精神”があります。空港からの送迎があったりお茶が出たりというホスピタリティの話ではありません。身体に加工という名のサービスを行うのです。それは多くの場合、取り返しのつかない身体への何らかの細工であることが多く、当院に来院されCTやMRIで発覚します。恐らく結果を出すためなのでしょう、使われない予定だった素材が使われていることもよくあります。

「患者が喜んでくれると思ってやった」

「患者のためだった」

「辛いといわれると胸が痛む」

と、先方のクリニックに抗議をすると韓流ドラマ的情緒で返されて怒る気になれなかったという方もいましたし、エージェントや通訳さえも連絡が取れなくなるなど、多くの場合話は平行線になりがちです。やり取りをしているうちに「日本の医者が嘘をついている」「通訳が悪い」と話が変わってくることもあります。

韓国の美容外科は日本の美容外科よりも機器の開発などの面で進んでいる点ももちろんありますが、安全に対する意識の高い日本から見るとやや行き過ぎた危うい部分や、どこまでが医療かという見解の相違も感じられます。技術については、韓国が上だとも下だとも思いませんが、日本と同じで多くの方はネットの宣伝力のある方へ軽々と流れてしまいます。

中には経済的な事情などでどうしても韓国へ行きたいという方もいらっしゃると思います。韓国を検討されるようでしたら、美容医療に身体を託すという行為の重さを是非忘れないでいただきたいと思います。どうしても韓国で受けられたい時は、一般の人が発信するネット情報に流されず、韓国の形成外科医が認めているクリニックや経歴をたよりに選ぶようにしましょう。それを探す作業を惜しまないでください。実際に、当院で修正を希望された患者様の鼻を修正で開いたところ、素晴らしい手技で手術がなされているのを確認したこともありました(ネットでは全く名前が出てこない、韓国では人気のクリニックとのことでした)。腕のよい信頼される医師は韓国にも必ずいます。

美容外科手術は医療だということ。そして、医療を海外で受けるには、十分なリサーチと覚悟が必要だということを改めて申し上げたいと思います。


韓国での美容外科で実際にあったことの一例を『形成外科は感動外科』でも取り上げています。参考になれば幸いです。

無題

事故による鼻の感染

ケガの画像があります。苦手な方はお気を付け下さい。

拙著『形成外科は感動外科』に掲載させていただいた患者様(P233~)の続編です。患者様から許可をいただいております。

1980年代に海外で鼻を高くするために入れたインプラント。それから16年後、交通事故で眉間にケガをされ、それがなかなか治らないということで来院されました。インプラントが原因で異物反応による炎症を起こし、皮膚が腐ったために開いた穴だと思われました。

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