眉間〜鼻にかけてのゴアテックス抜去

銀座すみれの花クリニック院長横山です。ゴアテックスを入れた方が抜去を検討する際の参考にしてください(ゴアテックスは当院では使用しない素材です)。

抜去の方法

よくクローズ法を希望される方がいますが、きちんとした手術を受けたいなら最初から方法にこだわらないことをお勧めします。

まずは想像してください。

ゴアテックスがあなたの鼻の皮膚の裏側に繊維を絡め取りながら貼り付いています。例えるなら、人によっては紙の裏に貼りついた両面テープを外すのと同じです。厚紙であればそれほど影響はないかもしれませんが、薄い紙だと無理に剥がすとダメージが大きくなります。無理に剥がせば紙はひどく傷みます。どのような紙であれ、できるだけ傷まないように丁寧に外さなければなりません。実際にゴアテックスは、表は皮下組織、裏は骨や骨膜に癒着しています。抜去する際は骨膜もノーダメージではありません。

クローズ法でできる方は条件があります。

条件の一番最初に来るのはゴアテックスと接している皮膚と皮下組織の厚さです。もしも皮下組織が薄く、ゴアテックスが皮下組織に癒着している場合はクローズ法は危険です。また、もしもゴアテックスが石灰化しているようだとクローズ法だと抜く時に周囲の組織をかなり傷めます。

厚さのあるゴアテックスを入れている場合や、長期間ゴアテックスを入れた方は、オープンの方が良いです。

稀にあまりダメージを残さず比較的スムースに抜去できる方もいますが、それは手術前にはわかりません。

他の方の「クローズでうまくいった」という口コミを見て「自分もクローズ法でできるのでは?」と考えるのは早計です。稀なケースかもしれませんし、本当にうまくいったかどうかは先々までわからないものです。

再建

ゴアテックスを抜いた部位の再建ですが、自家組織が良いといっても、皮膚が薄くなっている場合には肋軟骨を砕いたものを入れることができません。

理由は凹凸が出てしまうからです。

高さを維持しようと厚みのある肋軟骨を入れるのは、皮膚が薄くなっている場合は肋軟骨の形が出てくるので入れられません。

耳介軟骨を入れるとすると、砕いたものを入れるとしても皮膚が薄くなっているので凸凹になります

となると真皮脂肪移植が良いです。

筋膜を入れるという考え方がありますが、拘縮することがあり皮膚が薄いと拘縮(皮膚の歪み)が見えてしまう。やはり、真皮脂肪が良いです。

真皮脂肪のデメリットは、単独では鼻根鼻背の高さを出せないということです。

ゴアテックスを抜いて高さが欲しいという場合は、オープンでゴアテックスを抜いたところに真皮脂肪を入れて、細かく砕いたご自分の軟骨も入れる、というのが適しています。

これがゴアテックスを抜いた方の再建の方法です。

ただし、患者様の皮膚の状態やゴアテックスの状態次第で、ご提案内容は人それぞれです。それについては私の経験から個々最適な方法を提案しますので、診察にお越しください。

また、私のブログには、ゴアテックスの修正例も多数ありますので、ご参考になさってください。

医療法人社団S&T医会 銀座すみれの花クリニック

【専門医解説】壊死が引き起こす腐軟骨について

鼻中隔延長を受けた方で、未熟な技術や無理な肋軟骨の入れ方をされて周囲が壊死した場合、当院では早期の全摘をお勧めしています。その理由は大きく二つあります。

1、感染のリスクが高いため

感染が発生した場合は早々に全摘が必須となり、移植した軟骨や鼻中隔軟骨に波及した場合、手術前の鼻の状態より悪化し、再建に向けて時間と費用がかなりかかることになります。

2、『腐軟骨(ふなんこつ)』を避けるため

壊死部直下の肋軟骨には新生血管がないので移植した肋軟骨が『腐軟骨』になります。この状態を放置することは危険です。

このページでは、壊死を起こした場合に高い確率で発生すると言われている「腐軟骨」について解説していきます。*当院では壊死を起こした方の全例で腐軟骨が発生しています。


1. 腐軟骨とは

腐軟骨は、感染や血流障害などで死んだ鼻の軟骨組織です。死んだ組織は自己修復できず、体内では異物として扱われます。このため、放置すれば周囲組織にも悪影響が及びます。

他院修正手術の症例1:腐って溶けた部分(青囲み)。鼻中隔粘膜壊死は接した移植軟骨の壊死も招きます。

Screenshot

摘出した肋軟骨 腐っている部分(青囲み)。

採取したばかりの正常な肋軟骨


2. 腐軟骨を放置した場合に起こりうること

感染の慢性化・拡大

  • 腐軟骨は細菌の温床となり、慢性的な膿や悪臭を伴う鼻汁が続くことがあります。
  • 感染が鼻腔周囲の骨や副鼻腔、さらに眼窩や髄膜へ波及すると、視力障害や髄膜炎、脳膿瘍といった命に関わる合併症の可能性もあります。

鼻の変形

  • 軟骨が壊れることで鼻筋が陥没する鞍鼻(あんび)や、鼻先が潰れた形になるなど、見た目に大きな変化が起きます。
  • 変形は進行性で、早期治療を逃すと修正手術も難しくなります。

鼻閉・呼吸障害

  • 腐軟骨と周囲の炎症で鼻腔が狭くなり、慢性的な鼻詰まりや口呼吸が続きます。
  • 長期的には喉や肺への負担も増します。

3. なぜ早期除去が必要か

  • 腐った組織は自然に再生しません。
  • 感染源を取り除かない限り、抗菌薬の効果も一時的で、再発や悪化を繰り返します。
  • 再建手術で形態・機能を回復させることが可能になりますが、放置期間が長いと再建の難易度が高まります。

4. 鼻の腐軟骨を放置した場合

軟骨が腐り始めてからの進行は以下のとおりです。抜かずに放置すると、時間とともに急激に危険度が増し、修復困難になります。

  • 初期(1〜2週間):軽度の腫れ・膿・悪臭の鼻汁
  • 進行期(1〜2か月):感染拡大、副鼻腔炎併発、鼻閉・鼻痛・変形兆候
  • 慢性期(数か月〜1年):軟骨破壊進行、鞍鼻形成、慢性膿・鼻づまり悪化
  • 重篤期(1年以上):眼窩や髄膜への波及、視力障害や髄膜炎など致死的リスク

5.アドバイス

壊死を甘く考えてはいけません。壊死直下で腐軟骨が発生しそれを放置すると、
「感染 → 変形 → 機能障害 → 命に関わる合併症」
という悪化の流れになりやすく、治療のタイミングが遅れるほど修復が困難になります。
したがって、できるだけ早期に診断・治療を受けることが重要です。

私は、壊死を起こしている患者様には感染のリスクを伝え早々に抜くことを提案しますが、受けた美容手術が無駄になることに諦めがつかなかったり、美しさを捨てきれず、治療を後回しにされる方もいます。実際当院ではほとんどの方が診察後に速やかな治療を選択して再出発されていますが、専門医の経験や助言をどう受け止めるかは人それぞれですので、判断は患者様にお任せしています。こちらの記事を読んで、しっかりと理解されることを希望します。


症例

他院術後、感染により早期治療を逃し皮膚に瘻孔があった鼻を再建したモニター症例です。

シリコン感染後の修正再建術:鼻尖皮膚瘻孔 鼻尖鼻柱偏位 皮下拘縮 

術後感染による皮膚瘻孔・鼻尖鼻柱偏位・拘縮に対する修正術:術後6ヵ月の結果


銀座すみれの花クリニック

院長 横山才也

日本形成外科学会認定専門医

日本美容外科学会専門医(JSAPS)