二重切開修正術
二重の線だけではなく、まぶた全体の構造を診断します
二重切開後の問題には、二重幅の広さだけでなく、ラインの深さ、目の開き、皮膚や眼輪筋の厚さ、脂肪の量、瘢痕、過去の固定位置などが関係します。
同じ「二重幅が広い」という訴えでも、実際には高い位置の癒着、眼瞼下垂、目の上のくぼみ、皮膚不足など、原因は患者さんごとに異なります。
修正手術では、希望する二重幅だけを基準にするのではなく、まぶたの解剖と開閉機能を評価し、問題の原因を特定することが重要です。
二重幅をさらに広げる修正
現在の二重幅が狭い、奥二重になっている、ラインが途中で消えるといった場合には、より高い位置へ二重ラインを作り直すことを検討します。
ただし、単に高い位置で皮膚を固定すればよいわけではありません。次の原因を診断します。
・現在の固定位置が低い
・固定が弱く、開瞼時にラインが十分に折れ込まない
・上まぶたの皮膚がかぶっている
・ROOFや眼窩脂肪によってまぶたが厚く見える
・眼瞼下垂によって二重幅が狭く見える
・内側の蒙古ひだによって希望するラインが形成されにくい
・眉毛下垂や額の代償が関係している
修正では、既存のラインや癒着を必要に応じて解除し、希望する位置に新しい連続性のある固定を作ります。皮膚の余剰がある場合には皮膚切除を組み合わせますが、取りすぎると閉瞼障害を起こすため、慎重な判断が必要です。
眼瞼下垂を伴っている場合には、二重幅を広げるだけでは眠そうな印象が改善せず、かえって不自然な幅広二重に見えることがあります。その場合は、開瞼機能の修正を同時に検討します。
広すぎる二重を狭くする修正
幅の広い二重を狭くする修正は、二重幅を広げる手術より難しいことがあります。
広い二重では、本来より高い位置で皮膚と挙筋腱膜、瞼板、眼窩隔膜などが強く癒着していることがあります。この古い癒着を残したまま低い位置に新しいラインを作っても、元の高いラインが再び現れ、三重や複数のラインになる可能性があります。
修正では、まず高い位置の瘢痕と癒着を丁寧に解除します。そのうえで、低い位置に新しい二重ラインを形成します。症例によっては、解除した部分が再癒着しないよう、眼輪筋、眼窩隔膜、脂肪組織などを利用して組織を介在させることがあります。
次のような場合は、二重幅を十分に狭くできない可能性があります。
・前回の手術で皮膚が過剰に切除されている
・眼輪筋や脂肪が大きく切除されている
・挙筋腱膜や眼窩隔膜が広範囲に瘢痕化している
・複数回の手術で正常な組織層が失われている
・高い位置の皮膚に強い折れ癖が残っている
皮膚が不足している状態で無理にラインを下げると、閉瞼障害、まつ毛の外反、強い食い込みなどを起こす可能性があります。そのため、希望する幅と、安全に実現できる幅が一致しない場合があります。
ハム目・眠そうな目の原因と修正方法
一般に「ハム目」と呼ばれる状態は、二重のラインからまつ毛までの部分が厚く盛り上がり、眠そうに見える状態です。医学的には、pretarsal fullness、すなわち瞼板前部の膨らみが目立つ状態として評価します。
原因には、次のようなものがあります。
二重の位置が高すぎる
まぶたの厚さや目の開きに対してラインが高すぎると、ラインより下の組織量が多くなり、厚く見えます。
この場合は、高い位置の癒着を解除し、二重ラインを低い位置へ作り直します。
固定が深すぎる、または強すぎる
皮膚と瞼板や挙筋腱膜が強く固定されていると、ラインが深く食い込み、その下の組織が前方へ押し出されて見えます。
この場合は、強い癒着を解除し、より自然な深さと動きを持つ固定へ変更します。
眼瞼下垂が残っている
目の開きが弱いと、黒目の見える範囲が小さくなり、相対的に二重幅が広く、眠そうに見えます。
この場合は、二重幅だけでなく、挙筋腱膜など開瞼機能の修正が必要です。
瘢痕や組織不足がある
過去の手術で眼輪筋や脂肪が過剰に切除されると、正常な滑走層が失われ、硬い瘢痕や不自然な段差ができます。
この場合は瘢痕を解除し、残存する眼輪筋、眼窩隔膜、脂肪組織などを利用して、組織の連続性を再構築します。ただし、完全に正常な組織へ戻すことはできない場合があります。
手術直後の腫れによる一時的な厚みと、半年以上経過しても残る構造的なハム目では対応が異なります。手術時期と経過を確認したうえで判断します。
食い込み・瘢痕・ライン消失を原因別に修正します
食い込みが強い
二重の固定が深い、固定範囲が広い、眼輪筋や脂肪が不足している、瘢痕が瞼板や挙筋腱膜へ強く癒着していることなどが考えられます。
修正では、深い癒着を解除し、必要に応じて組織を介在させ、自然な深さのラインを再形成します。
傷跡が目立つ
傷が幅広い、陥没している、赤みが続いている、凹凸がある場合には、皮膚表面だけでなく、その下の瘢痕と癒着を評価します。
必要に応じて傷を切除し、深部の瘢痕を解除したうえで、皮膚に過剰な緊張がかからないよう縫合します。ただし、傷跡を完全に消すことはできません。
二重ラインが消失した
固定が弱い、皮膚や眼輪筋が厚い、眼窩脂肪が突出している、眼瞼下垂がある、あるいは固定位置が適切でない可能性があります。
単に再固定するだけでなく、ラインが消えた原因を取り除く必要があります。
三重や複数のラインがある
複数の位置に癒着がある、上まぶたがくぼんでいる、皮膚が余っている、挙筋腱膜の動きが不均一であることなどが原因になります。
不要な癒着を解除し、必要に応じてボリュームを補い、主となる一つのラインへ整理します。
ROOF・眼窩脂肪・眼窩隔膜から診断する理由
上まぶたの厚さを構成する組織は一つではありません。
ROOFは眉毛から上まぶた外側に存在する眼輪筋下脂肪で、外側の厚みや重さに影響します。眼窩脂肪は眼窩隔膜の奥に存在し、前方へ突出すると上まぶたの膨らみとして見えることがあります。
眼窩隔膜は、眼窩脂肪とまぶたの表層組織を隔てる膜であり、挙筋腱膜との位置関係は二重形成にも関係します。
まぶたが厚いからといって、脂肪を一律に切除することは適切ではありません。脂肪を取りすぎると、上まぶたのくぼみ、骨ばった印象、多重ライン、癒着の悪化につながることがあります。
診察では、厚みの原因が皮膚、眼輪筋、ROOF、眼窩脂肪、眼瞼下垂のどこにあるのかを見極め、必要な組織のみを処理します。
眼瞼下垂を伴う場合に、開瞼機能も評価する理由
二重の形と、目を開ける機能は密接に関係しています。
眼瞼下垂があると、二重のラインが広く見える、左右差が目立つ、眠そうに見える、額に力を入れなければ目が開かないといった状態が生じます。
この状態で二重ラインだけを修正しても、希望する印象にならない可能性があります。反対に、眼瞼下垂を適切に修正すると、同じ二重幅でも黒目が見えやすくなり、二重が狭く自然に見えることがあります。
当院では、二重幅だけでなく、MRD-1、挙筋機能、眉毛の位置、額の代償運動、左右の開瞼バランスを評価します。
修正で期待できる改善と限界
修正手術によって、二重幅、ラインの連続性、食い込み、左右差、目の開きなどの改善が期待できます。
一方、修正手術は、まぶたを手術前の状態へ完全に戻す手術ではありません。切除された皮膚、眼輪筋、脂肪、挙筋腱膜などを完全に再生することはできず、瘢痕を完全に消すこともできません。
特に、複数回の手術歴、著しい皮膚不足、強いくぼみ、広範囲の瘢痕、閉瞼障害、角膜障害がある場合には、改善できる範囲が限定されます。
左右のまぶたには、もともとの骨格、眼球位置、眉毛位置、挙筋機能の違いがあります。そのため、完全な左右対称を保証することはできません。
診察では、改善できる部分、残る可能性がある部分、新たに生じ得る問題を含めて説明し、安全性を優先した修正方法をご提案します。
執筆:高木信介医師
日本形成外科学会認定形成外科専門医
昭和医科大学形成外科
